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- 衛生関連
- 2024.04.12
一般衛生管理で行われるATPふき取り検査について
飲食店や食品工場などの衛生管理で実施されているATPふき取り検査を知っていますか? 最近では除菌剤の効果をATPふき取り検査の結果をもって除菌力があるといっている商品もありますがそれは正しいのでしょうか? 一般衛生管理で実施されているATPふき取り検査の内容をご紹介させていただきます。
一般衛生管理を行う理由
2021年6月から実施されている衛生管理手法「HACCP(ハサップ)」 「HACCP」は食品等事業者が食中毒や異物混入等の要因を把握し、その要因を除去又は低減させるために入荷から出荷までの全工程の中で特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保するための衛生管理の手法です。 「HACCP」を実施するにあたっては、「PRP(一般的衛生管理プログラム)」という前提の整備が必要になります。 一般衛生管理に関する基準は下記14項目があげられていて、ATPふき取り検査もその中の項目の1つに含まれています。 1.食品衛生責任者等の選任 2.施設の衛生管理 3.設備等の衛生管理 4.使用水等の管理 5.ねずみ及び昆虫対策 6.廃棄物及び排水の取扱い 7.食品又は添加物を取り扱う者の衛生管理 8.検食の実施 9.情報の提供 10.回収・廃棄 11.運搬 12.販売 13.教育訓練 14.その他
ATPふき取り検査とは?
ATPふき取り検査は汚れや生き物を含む多くの有機物に含まれるATP(アデノシン三リン酸)の値を数値化し、この値を汚れの指標として行う検査方法です。 一般的に飲食店や食品工場の汚れは有機物汚れになります。 有機物汚れは動植物油や手あか、たばこのヤニなどがあげられます。また火で熱して炭になる物は有機物汚れになりますのでほとんどが該当します。 有機物汚れはアルカリ性の洗浄剤を使用すると効果的に清掃を行うことができます。
汚れの指標について
ATPふき取り検査ではキッコーマンバイオケミファ社が製造している「ルミテスター」が使用されています。 ルミテスターの汚れの単位はRLU(Relative Light Unit)で表され、測定場所や製品によってメーカーが推奨基準値を設定しており推奨基準値より下になる必要があります。 推奨基準を大きく分けると下記のようになりますが、飲食店や食品工場になると大体200RLU以下が合格となります。 ・平滑なもの(ステンレスやガラス)・・・200RLU以下 ・凹凸、傷つきやすいもの(樹脂製品)・・・500RLU以下 ・手指・・・2,000RLU以下 参考としてミラクルクリーナーZと洗剤、アルコール製剤を使用してATPふき取り検査を行ってみました。
机を味噌汁などで汚した後に1日放置し各製剤をスプレーで噴きかけて1度拭きを行いました。 全ての製剤でATPの値は落ちていますが、汚れ落ちが変わってきます。 ミラクルクリーナーZは界面活性剤などを使用していないため、洗剤の残渣が発生せずに1度拭きでも値が良く落ちています。 洗剤は一度拭きだけだと汚れは取れるのですが、洗剤の残渣が残ってしまうため、何回かすすぎを行わないとATPの値が悪くなりました。※洗剤の残渣も有機物になりますのでATPが反応します。 アルコール剤はそもそも除菌剤のため、洗浄剤に比べると値が悪くなります。
除菌剤の効果とATPふき取り検査の結果って関連するの?
菌やウイルスは有機物の中に存在しているため、有機物汚れが取り除かれれば菌もその場所にいなくなります。 したがって「ATPの値が低い=除菌力が高い」と説明がある商品がありますが、あくまで汚れがなくなっただけであり除菌されているわけではないため、正しくありません。 そもそも除菌剤は上記の結果の通り洗浄剤ではないため、洗浄効果も弱く汚れ(有機物)に直接噴きかけると除菌効果も落ちてしまいます。 ですのでミラクルクリーナーZを使用して汚れと一緒に菌を除去し、そのあとに除菌剤を使用することが適切な衛生管理になると言えます。
まとめ
ATPふき取り検査を行うところはHACCPを導入していたり、衛生管理を大事にしているところが多いです。 除菌剤の使用方法や洗浄剤などにも目を向けて適切な衛生管理を行うことが非常に大事になります。